試験検査の信頼性

試験検査の信頼性確保のために

一般財団法人食品環境検査協会は、5か所の検査施設を持つ、食品衛生法の登録検査機関・健康増進法の登録試験機関であり、食品製造に係る衛生や認証も扱う数少ない検査機関の一つです。

国内の主要な港湾や空港に輸入される食品の検査も行っており、命令検査については、およそ100の食品衛生法の登録検査機関のうち、件数ベースで12%実施しました(令和2年度輸入食品監視統計および当協会実績より)。加えて、特別用途食品・特定保健用食品の許可試験も行っているため、併行して行う内部精度管理等も多くの項目・件数で実施しております。

 試験検査の信頼性確保のために、検査機関として次の品質保証のシステム等に取り組んでいます。

食品衛生検査施設における検査等の業務管理(GLP:Good Laboratory Practice)
試験所の能力に関する国際規格 ISO/IEC 17025

一般財団法人 食品環境検査協会3つの信頼性をお約束

また、分析室においては、職員が精度の高い検査を維持し、技能を向上させるため、日々、次のような取組みも行っております。

①分析室内の整理・清掃、朝の打ち合わせ

分析室内の整理・清掃を行い、ワークシェアを進めるためお互いの体調確認や業務調整を行っています。

②検査の実施

検査項目別の標準作業書に従って、記録しながら検査を進めています。標準作業書・記録簿等は次の③~⑥の他、様々な場面で使用しています。

③機器の日常点検・定期点検

電子天秤や高速液体クロマトグラフ質量分析計といった機器の日常点検を行い、定期的に校正やメンテナンス、定期点検を行っています。

④試験品の管理

お預かりした試験品が破損・腐敗しないよう適切に保管し、残余試験品については終了後も一定期間保管しています。

⑤試薬や標準品・標準菌株の管理

入手した試薬や標準品の有効期限や製造番号を記録し、適切に管理しています。標準菌株については継代培養について記録しています。

⑥教育訓練

職員の技能の向上を図るため、分析機器のメンテナンス、食品衛生に関する知識・法律について、実地教育および内部研修を行っています。機器メーカーや業界団体の研修会に積極的に参加するとともに、必要に応じて国内外の研究機関等に派遣しています。
また、危険物取扱者および環境計量士(濃度)等、職員の資格取得の支援をしています。

食品衛生検査施設における検査等の業務管理
(GLP : Good Laboratory Practice)

各法令の登録の基準等に基づき、試験品の受入から検査の実施、機器の保守管理、試薬の管理、書類の作成・保管、結果の報告、精度管理を行っています。
またこれら全体を、試験検査部門から独立している信頼性確保部門が点検しています。

食品衛生法 (昭和22年法律第233号)
健康増進法 (平成14年法律第103号)第43条許可試験

試験所の能力に関する国際規格 ISO/IEC 17025

試験所の能力に関する国際規格であるISO/IEC 17025を全5事業所で取得し、品質マネジメントシステムを運営しています。(認定番号 71718 認定機関 ペリージョンソン ラボラトリー アクレディテーション インク)

事業所 認定の範囲
東京事業所 農産物(野菜・穀物)のGC-FPDを使用した有機リン系クロルピリホスの分析試験
合成樹脂製の器具及び容器包装の原子吸光光度計を用いたカドミウム、鉛の分析試験
横浜事業所 食品全般における放射性核種(I-131、Cs-134、Cs-137を含む)濃度測定
清水事業所 食品に含有する原子吸光光度計(AAS法)によるナトリウムの分析試験
神戸事業所 玄米・精米に含有する原子吸光光度計(AAS法)によるカドミウムの分析試験
福岡事業所 食品に含有する蛍光光度計(AOAC法)によるヒスタミンの分析試験

精度管理

①内部精度管理

添加量既知の試料について測定を行うと、機器の状態、試薬の違い、担当者の技能等によって、毎回、添加量とは多少変動した結果が得られます。
これを検査と併行して実施することで、通常より大きな変動が見られた場合には、検査に問題があった可能性を検知することができます。これらの問題に対応していくことで精度を向上させています。

②外部精度管理

複数の検査施設が添加量非公開の同一試料について測定し、データを集計・解析した結果から各検査施設の技能を評価する外部精度管理に、全事業所で継続的に参加し、良好な成績を得ています。
また、事業所が複数あることを生かして、異なる試験方法・機器を用いた測定データを比較する等、独自の検証を行うことができます。

近年の主な参加項目 実施機関
食品衛生外部精度管理調査 一財)食品薬品安全センター
遺伝子組換え食品検査の外部精度管理調査
小麦のデオキシニバレノール検査の外部精度管理調査
特定原材料検査の外部精度管理調査
食品分析技能試験(栄養成分) 公社)日本分析化学会
プラスチック中の有害金属成分分析 (中国)NIL Research Center
飼料の共通試料による分析・鑑定 独)農林水産消費安全技術センター
精米粉末中のカドミウム及び必須元素の技能試験 独)産業技術総合研究所
放射能測定(試験所間比較・技能試験) 公財)日本適合性認定協会
FAPAS(アフラトキシン、有害金属、ビタミン類他) (英国)FERA Science Ltd.
FEPAS(腸炎ビブリオ)

③試験方法の妥当性評価

「食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性ガイドライン」、「食品中の金属に関する試験法の妥当性評価ガイドライン」等に従い、採用する試験方法の妥当性を評価しています。

④その他

公的機関等が行う、試験方法の構築や検証の共同試験等に、積極的に参加しています。

内部点検・内部監査

業務管理(GLP)に基づく内部点検、ISO/IEC 17025に係る内部監査

試験検査業務が適切に行われ、正しい試験検査結果を導き出す技能が維持されているか、品質管理部門が独立して検証しています。
問題があれば速やかに是正を行い、いつでも安心してご依頼いただけるよう、信頼性確保に努めています。